熱や喉の痛みなど、一見風邪と間違いやすい病気が扁桃炎です。
扁桃というのは喉の奥にある小さな組織なのですが、この病気にかかるとこの部分が赤く腫れて痛みや刺激感などを引き起こすことになります。

大人でもこの病気にかかりますが、小さいお子さんのほうがかかりやすく、幼稚園から小学校低学年くらいの4歳から8歳くらいの時期にはとくに注意が必要です。
では、扁桃炎という病気では具体的に何が原因となり、どんな症状が出るのでしょうか。

細菌やウイルスによって扁桃が炎症を起こす

扁桃炎は風邪とよく似ているのですが、風邪とは異なる病気です。
しかし、症状が進むと風邪につながることもあり、場合によっては全身にも症状が出てきます。
また、風邪のように必ずしもウイルスが原因という訳ではなく、ウイルス以外のものが原因となって発病することもあります。
喉の痛みを感じるので、薬局やドラッグストアなどへ行って風邪薬を買ってきたけれど治らなかったと言った場合には、この病気を疑ってみるようにしたほうが良いです。

ウイルス扁桃炎を起こす主な原因となるのは、細菌とウイルスです。
割合で言うとウィルスが原因となっているケースのほうが多く、具体的にはアデノウィルスやエンテロウィルス、コロナウイルスなどが病原体となります。
このうち、アデノウィルスはプール熱を起こす際の病原体としても知られているので、ご存じの人も多いと思います。
また、単純ヘルペスウイルスやEBウイルスが病原体となるケースもあります。

一方の細菌が原因となる場合も、病原菌の種類は複数存在します。
この病気を起こす主な病原菌としては、黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌、肺炎球菌などを挙げることが出来ます。
溶連菌が感染した場合も、この病気の原因となり、全身性の合併症を引き起こしやすいので注意が必要です。

扁桃炎にかかると、口の奥にある、舌の付け根部分の両側にある扁桃という組織が炎症を起こすことになります。
この組織は、体の中に細菌やウィルスなどが入ってくるのを感知すると、それに反応して体の免疫機能を働かせるという機能を持っています。
しかし、扁桃自体もウィルスや細菌などの病原体に感染しやすく、それらの病原体が侵入してくることで組織が赤く腫れ、刺激性の痛みや違和感などを感じることになるのです。

風邪の場合は、喉の奥にある咽頭の部分が腫れたり痛くなったりするケースが多いため、痛みや刺激感などを感じる場所によって、扁桃炎なのか風邪なのかを区別することが出来ます。
よく分からない場合には、小児科や内科などの病院を受診して、組織を採取してもらえば、この病気にかかっているかどうかを調べることが可能です。
風邪とは違い、病原体の種類によって治療方法は異なってくるので、喉の両側に違和感や痛みを感じるような場合には、まず内科系の病院を受診したほうが良いでしょう。

体力や免疫力が落ちているとかかりやすい

扁桃炎という病気自体は、細菌やウィルスが病原体となっているため、健康な人であってもかかる場合があります。
しかし、体力や免疫力が落ちている場合には注意が必要です。
とくに、体組織や免疫系が十分に発達していない子供は、病原体となる細菌やウィルスが活発になる季節には、十分に気を付けるようにしたほうが良いと言えます。

体力の低下を気にする女性口から喉の奥にかけての部分は、食べ物を摂取したり、空気を吸い込んだりするため、外からの影響を受けやすい部分となっています。
そのため、空気中にある異物や病原体などは、まずこの部分に侵入してくることになります。
口のなかや喉の組織は粘膜と言って、皮膚や筋肉といった体の他の部分に比べると組織が柔らかく、内部に異物も入り込みやすい構造になっています。
ちょっとした体調不良などで粘膜の組織が傷ついていたり、傷ついた組織の修復が遅れていたりすると、その弱くなっている部分からは異物が侵入しやすい状態となります。

普段は健康でも、体調不良などが引き金となって病原体に感染し、急に扁桃炎にかかってしまうケースもあるので注意が必要です。
とくに、お子さんは学校の授業でプールに入った際などに、アデノウイルスに感染してこの病気になってしまうケースが多くあります。
プール熱が流行する時期などは、健康なお子さんでも体調の管理には万全を尽くしたほうが良いと言えます。
普段しない運動をしたり、遊びすぎたりした場合には、体力の回復も遅れますから、子供の体調管理には慎重になったほうが良いでしょう。

また、扁桃炎は季節によってもかかりやすい時期とそうでない時期があります。
上に書いたアデノウイルスが原因となって夏場に発症することも多いですが、免疫力が低下する冬場もこの病気にかかりやすくなります。
冬場には、インフルエンザ菌や肺炎球菌といった細菌の活動が活発になり、また体温が低下することで免疫系の働きも落ちてきます。
そのため、冬にはこうした細菌が原因となって扁桃炎にかかるリスクが高くなります。

冬になると、屋外や室外も乾燥しているため、とくに口のなかや喉といった粘膜の部分は乾燥が進みやすく、細菌やウィルスなどの病原体もそれだけ組織に侵入しやすくなることになります。
こうした場合、室内の保湿をよく行うことで病気の発生するリスクを減らすことが出来ます。

扁桃炎の症状は結構つらい

扁桃炎の症状としては、喉の両側の痛みや刺激感などが中心ですが、他にも倦怠感や頭痛、関節痛など多くの症状がみられます。
軽度であれば、組織が赤くなったり腫れるだけで時間が経てば快癒します。
ウィルスが原因の場合には軽度で済むことが多く、場合によっては何もしなくても放っておけば治るケースもあります。

しかし、溶連菌などの細菌が原因となっている時には、合併症にかかるリスクが高くなり、治療をするには抗生物質の投与などが必要になって来ます。
病原体の種類によって治療方法や症状が異なることは、注意しておくべき点なのでよく覚えておくと良いです。
とくに小さなお子さんがいる場合には、急に症状が重くなることもありますから、慌てないようにして下さい。

扁桃炎の疑いがある女性扁桃炎の主な症状である、喉の痛みや刺激感などは、風邪にかかった時の状態とよく似ています。
症状が軽い場合には、喉の奥がなんとなくイガイガする、首回りが腫れるといった病態となります。
また、扁桃の組織が炎症を起こすことで免疫力も低下しますから、頭痛や倦怠感、発熱などを伴うケースもあります。
こうした症状には特効薬はなく、鎮痛消炎剤などを服用して症状を抑えながら、だんだんに免疫力や体力が回復してくるのを待つことになります。

体力が落ちているケースでは、痛みや腫れが耳や頭部など他の部分に広がったり、扁桃の組織が化膿して膿を持つ場合もあります。
重症化することはそれほど多くはありませんが、子供がこの病気にかかった場合には十分に注意したほうが良いと言えます。

溶連菌に感染してこの病気にかかると、体がむくんだり、おしっこが出なくなったりする、といった症状が出ます。
リウマチに似た関節痛や発熱などの症状が出ることもあります。
この際、皮膚に湿疹が出来たり、皮下組織に結節が出来てしまうこともあります。
最近では大人が扁桃炎にかかるケースも増えてきているので、仕事などでストレスをため込んでいたり、疲労が積み重なっているような場合には注意が必要です。
皮膚の一部があざのように黒くなる、アレルギー性紫斑の症状を起こすこともあります。

急性扁桃炎であれば、治療期間は一週間から十日程になります。
しかし、人によっては年に何度か発症を繰り返す慢性扁桃炎になることもあるので気を付けましょう。